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【取材レポート】【主催:佐久市】「佐久の自然を考えよう~生物多様性の保全とニホンジカ課題から見る森林~」講演会を開催

佐久市では昨年度から「生物多様性保全活動検証事業」として、専門家からの意見を基に、植物や動物に関する調査実験を実施する中で、市内森林愛の現状を把握し、森林生態系や生物多様性の保全に向けた検討や検証を行っています。(「長野県地域発元気づくり支援金」を活用)

7月7日(日)に啓発イベントとして、生物多様性の認知度や理解度の向上を目的とした講演会と昨年の事業報告を併せて開催。会場の佐久市役所大会議室は定員を上回る100名近くの方が参加、関心の高さが伺えました。

はじめに、小泉透氏(国立研究開発法人 森林研究・整備機構フェロー)は生物多様性とは「自然の豊かさであり、私たちの生活にさまざまな恩恵をもたらしてくれるもの」と話されました。

また、長い年月には地球環境の変化や開発、シカなどの野生動物が引き起こすダメージを受けながらも生物たちは順応していく。しかし大きなダメージは回復不可能になってしまう。その前に私たちの身近な環境に不安や不満が生じていないか点検すること。それが「地域の生物多様性を考えること」と述べました。

次に、塚田 英晴氏(麻布大学 獣医学部 動物応用科学科 野生動物学研究室教授)がシカの生態をわかりやすく解説。エサを求めて40キロも移動し採食により森林の植生への変化をもたらす。その影響は土砂の流出にもつながると話されました。

3人目に、佐久市教育委員会文化財事務所の冨沢一明氏から、「原始・古代の人々は自然と密接していた。よく相手(動物・自然)を観察して生活していた。」と話されました。

最後に佐久市環境政策課の栗山裕一氏からは以下の報告がありました。

「森林生態系の現状把握のため植生調査や動物調査を実施した。また、調査地内に植生回復柵を設置し、柵の内側と外側で植物の成長度合を比較した。調査実験結果から、調査地内の植物はシカの影響を受けており、植物の種数の減少や下層植生が低下している。草本の減少により、一部土壌が露出し、流出が始まっていることで災害に繋がる可能性があることが分かった。」

今年度(令和6年度)の事業は、引き続き、植生回復に向けた調査実験とシカの頭数調整に向けて、シカの行動を把握するためのデータ収集と捕獲技術の向上を図る講座を行う予定とのことです。

詳しくは市のホームページ:生物多様性についてをご覧ください。

https://www.city.saku.nagano.jp/kurashi/kankyo_kogai/seibututayousei/index.html


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