佐久市志賀の旧志賀小学校をロケ地とした映画「ハオト」の先行上映会が、撮影から2年の経過を得て念願叶って開催されました。上映会場となった旧志賀小には、定員をはるかに上回る観客が詰めかけ、地域住民の深い協力と映画への熱い想いが感じられました。



監督が惚れ込んだ旧志賀小学校の魅力と佐久市志賀のロケーション
「ハオト」の丈監督は、熊本や北海道、東北など各地の学校を見学する中で、関東エリアからのアクセスも良い佐久市を検討したといいます。旧志賀小学校を訪れた際、「当時のまま保存された歴史ある木造校舎、周りのロケーションやあぜ道に引き込まれた」と、作品の世界観に合致したことを明かしました。
約1ヶ月に及ぶ撮影期間中、佐久市志賀の地域の方々からの協力は絶大だったと監督は振り返ります。「ロケの時は、お昼ご飯は地域の方による料理の振る舞いでお世話になりました。事前に校舎の掃除などもして頂き、関わりも多く、思い出深い」と感謝の言葉を述べ、「佐久はなんだかふるさとのようで今回も訪れた」と語りました。


今回の映画上映会は、地元で立ち上がった「旧志賀小保存・活用有志の会」の協力によって実現しました。会は準備段階から関わり、当日は出前講座なども行い、参加者は学校の歴史についても深く学ぶ機会を得ました。映画鑑賞後には校舎で記念写真を撮る参加者の姿も見られました。


観客の中には市外から駆けつけた方も多く、また、旧志賀小学校の卒業生や、映画にエキストラとして参加した地域の皆さんの姿もありました。
映画のエキストラにも出演した旧志賀小学校保存会の小山茂太さん(85歳)は、「母校での懐かしい思い出がよみがえる。当時は階段で滑ったりしていたものです。この学校を選んでもらったこと、今日までの完成が待ち遠しかった」と、思い出に浸りました。また、映画を鑑賞して「日本らしい気遣いや文化が息づいていると感じられた」と感銘を受けた様子でした。
同じく卒業生の澤井一男さん(78歳)は、「映画を通して戦争はやはりいけない。平和で暮らせることへの感謝も感じました。そして、映画館ではなく、母校での映画上映はとても嬉しい」と、特別な場所での鑑賞体験に喜びを語りました。
なお、佐久市市民活動サポートセンターからも、エキストラの呼びかけを行い、地元高校生8名が映画に出演しました。


映画「ハオト」は、丈監督がメガホンをとり、原田龍二さん、片岡鶴太郎さん、高島礼子さん、マイケル富岡さんなど豪華俳優陣が出演しています。
物語は、一人の老人が甥っ子の刑事に「人を殺した」と告白するところから始まります。老人は、太平洋戦争末期の特殊施設の話を語り始めます。そこは、原爆開発を手掛ける博士や戦況を100%予知する男がいる、特殊機密施設でした。海軍の将校・蓬が、ハワイ生まれの日系人である米国の諜報員・津田を二重スパイとして雇い、施設に連れてきます。蓬は、ソ連に仲介してもらい和平交渉を進めようと、日系ソ連人のソ連大使と陸軍将校の森本を施設に招こうと画策します。一方、米国は津田の存在を怪しみ、同じく日系ハワイ人の田中を送り込むという、緊迫した展開が繰り広げられます。この機会に、ロケ地の雰囲気と共に映画の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。