佐久市の“お財布”事情はどうなっているのでしょうか。佐久市の出前講座「市の財政について学ぶ~佐久市のお金はどう集められ,どう使われているか~」が3月24日,佐久市民活動サポートセンター(さくさぽ)と協働して,野沢会館で開かれ,市民ら13人が参加しました。税収が伸び悩む中,社会保障費などの歳出が増えている実態が示されたうえ,予算等においても行政と市民との協働の概念を活用する考え方についても紹介がされました。
まずは財政の大きな枠組みについて,佐久市総務部財政課の遠藤貴信さんと栗山裕一さんによると,小学校の建て替えや移住促進,災害復興などの「一般会計」,国民健康保険や介護保険などの「特別会計」,国保浅間総合病院事業や下水道事業などの「公営企業会計」の3つに分類されると説明がありました。
また,佐久市の人口は,合併当初の平成17年(2005年)度の10万人から右肩下がりに減り,令和4年(2022年)度には9万8千人となりました。ただ,JR佐久平駅周辺は人口が増える一方,他地域では人口減に歯止めがかかりません。
しかし,人口減となっているのに,一般会計の当初予算は,2005年の375億円から2022年の472億円と約100億円も増加しています。他方,特別会計や公営企業会計は年度ごとの予算に凹凸はあるものの,一般会計ほどの増加はありません。
どうして一般会計は増えているのでしょうか。とくに2019年度から2022年度までの増加が顕著です。補正予算などを加えた各年度の最終予算額では,518億円(2019年度),660億円(2020年度),594億円(2021年度),537億円(2022年度3月時点)といずれも510億円以上になりました。2019年の東日本台風による災害対応や2020年度からの新型コロナウイルス感染症対策などがあり,補正予算も矢継ぎ早に繰り返されたことが大きな要因といいます。
また、「令和3年度の決算概要」(http://www.saku-library.com/book/content_html5.php?id=725)によると,市の財源は,市税などの「自主財源」が4割,地方交付税,国・県支出金,市債などの「依存財源」が6割を占めています。佐久市は,財政力指数などの各種財政指標を見ても財政力がそれほど高くないことから自由に使える財源は少ないですが,赤字もなく,起債をはじめとした市の負債等に関する指標も健全性を示しており,財政が健全であることを強調していました。
他方,さまざまな事業を執行する市職員は2022年度で1179人です。2005年度の1204人と比べると20人以上減っています。細かく見ると,公営企業の職員は60人以上増えていますが,一般会計や一部の特別会計の職員は80人ほど減っています。予算は年々増加しておりますが,予算を執行する職員が減っていることが,一般会計で見て取れます。
これは大きな課題です。どう対応すればいいのでしょうか。そのヒントとして,元横浜市職員で大学教授を歴任した松下啓一さんの最近の記事に触れ,「みんなで公共を担う協働型地方財政」が課題を解決するための方法の一つとして紹介しました。