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小諸落雷労災事故の犠牲者を追悼~国籍は関係なく、すべての人の命と人権は同等

 2020年の夏、小諸市の畑で激しい雷雨の中、農作業をしていた外国籍の男性と女性が落雷に遭い、死亡した。この労災事故で犠牲になった2人を追悼する会が10月30日、佐久市の中込会館で開かれました。犠牲者の女性の遺族がオンラインで、関係者の支援に感謝を伝え、佐久市など県内外から参加した約20人が意見交換を行い、二度とこのような事故が起きないよう人の命と人権を守る社会を作り上げていくことを誓いました。

オンラインでタイのシンジェムさんの母との話し合い

 この会を主催した「小諸落雷労災事故の犠牲者を追悼する会」は、亡くなったスリランカ出身の男性ヘッティアーラッチゲ・イラン・ドゥッシュマンタ・ダ・シルワさん(当時34歳)とタイ出身の女性ワランヤー・シンジェムさん(当時29歳)の遺族への支援活動などに関わった、日本語指導のボランティア団体「サラダボウルの会」と県内有志によって結成されました。追悼の会は昨年に続き2回目です。

 はじめに、参加者らが折鶴を遺影の前に捧げ、震災地でハーモニカ演奏などの活動をしている各務雄太さんが、祈りを込めて「千の風になって」など4曲を吹きました。

 会場とタイをつないだビデオ電話では、サラダボウルの会の浅沼イクさんの通訳を通して、シンジェムさんの母が、「(労災保険給付申請の支援などを行ってくれた)日本人のみなさんの親切に感謝します」と述べたうえで、シンジェムさんの娘さんについて「孫は元気で過ごしています。(シンジェムさんの)労災保険遺族補償年金も受けています」と現状を語りました。また「(外国籍の人たちの労災問題は)私たち家族だけでなく、労働者みなさんが抱えていると思います」と支援の広がりの必要性を訴えました。

 意見交換では、「外国籍の人を低賃金で働く“便利な人”扱いしてはいけません」(追悼の会の呼びかけ人、小山正樹さん)、「日本の労働法はしっかりしているが、現場はその法律とほど遠く、パワハラなどがあり、外国籍の労働者は困っています。外国籍の人も日本人も同じです」(浅沼さん)、「軽井沢に来ていた時に労災事故を知りました。このことを忘れてはいけないと思い、この会に参加しました」(東京在住の女性)、「ありがとう。感動しています」(タイ出身の女性)、「労災保険遺族補償年金も、障害年金も、申請しないと受け取れません。外国籍の人にとっても、障がい者にとっても、手続きが難しく、助けてくれる窓口が欲しい」(各務さんの父)などの発言があった。

 追悼の会では、もう一人の犠牲者シルワさんについて、出身国の親族との意思疎通が取れず、労災申請にまで至っていないが、今後も親族と連絡を取っていくことが報告されました。


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