11月25日、「人と猫が共生できるまちを目指して」をテーマに、カフェさくさぽを開催しました。
カフェさくさぽとは、地域や社会で気になるテーマについて話題提供をしていただくゲストをお迎えし、参加者同士で話す「対話の場」です。 色々な考え方や立場の人と出会い、異なる意見に耳を傾けたり、自分がどう思うかを対話をすることで、お互いに理解を広めるための対話の場を目指しています。
今回は3つの立場からゲストの方々にご登壇いただきました。
1人目のゲストは、野沢地域包括支援センターの曽我 栄子さん。高齢者が地域で安心して暮らすための様々な相談に対応されていますが、その中で猫の多頭飼育の例も見受けられるそうです。
20頭近くの猫と一緒に暮らしている単身高齢者の事例についてご紹介いただきました。
客観的にみて衛生環境に問題があっても、ご本人が「ちゃんと面倒みているから大丈夫」と、困りごとを感じていらっしゃらない場合、対応の難しさもあります。
高齢者のお宅を訪問する際に猫がいる場合は、「去勢(不妊手術)はしてあるか?」を聞くようにしているそうです。
次にご登壇いただいたのは、佐久市環境部環境政策課の栗山裕一さんと須江圭太さん。
糞尿のにおいなど地域で問題となり、佐久市役所にも猫に関する多くの相談がよせられているそうです。
まず冒頭にお話があったのは、猫の繁殖力の強さ。
猫は1回の出産で4-8頭のこどもを生み、生後6ヵ月から繁殖が可能になります。
1組のつがいから、3年後には2000頭以上にまで数が増える計算となります。
飼い主がいない猫へのエサやりについてもお話がありました。以前はエサやりを禁止していたこともありましたが、エサやりを禁止してもまた住民同士の対立を生みやすくなってしまう一方で、猫の数は減らず、課題の解決にはつながりません。
そこで市が現在推進しているのが「TNR活動」です。TNRとは「Trap:猫を捕獲し」、「Neuter:不妊去勢手術をして」、「Return:元の場所に戻す」という活動です。飼い主のいない猫をこれ以上増やさず、一代限りの生を全うさせるための活動です。
またエサやりにも推奨されるルールがあります。エサは決められた場所で決めた時間に与える、食べ終わったらすぐに片づける、置きエサは他の猫やカラスを寄せ付けてしまうため行わない、などが推奨されています。
佐久市ではH30年度からふるさと納税・クラウドファンディングによる寄付も募集し、TNR活動を継続しています。(詳しくはこちら)
「どうしたら価値観の違う人と猫との共生がうまくいくか?」を考えると、近隣住民や地域に活動内容を理解してもらうことが大切です。
住みよい街にするためには、地域の問題として協働で取り組んでいく必要があることをお話いただきました。
最後にご登壇いただいたのは、猫ボランティアとして活動を続けていただいている皆さんです。
吉川 友子さんから、活動内容についてご紹介いただきました。
どうして猫のことをやっているのか?と聞かれることがあるが、「猫だけの問題ではなく、人が抱えている問題に遭遇することが多い」と吉川さん。福祉との連携が必要なケースにも遭遇します。中には、行政は入れないけれど、ボランティアは入れてくれるというお宅もあるそうです。
小学校などで授業で話して欲しいという依頼もあり、こどもたちからは「どうしてごはんをあげちゃいけないの」「どうして殺さなきゃいけないの」など純粋な質問をもらうそうです。「どうやって未来を決めていくか、子どもたちに恥ずかしくない背中を見せたい」と活動への想いを語っていただきました。
また、皆さんにお願いしたいこととして、「猫を引き取ってくださいという相談を受けることがあるが、場所もないので安易に保護はできない。どう対応するのが良いかアドバイスはできるので、一緒に考えていただきたい」とお話がありました。
後半は、グループごとでの対話の時間。ゲストの話を聞いた感想や質問、自分にできることについて意見を出し合っていただきました。
参加した方からは、「昔はどこの家にも猫がいたが多頭飼いの問題はなかったと思う。どうして今は多頭化の問題が発生しているのだろう」「猫好きな方、嫌いだったけど大好きになった方、嫌いだけど面倒をしている方、それぞれの立場から猫の取り巻く状況を深堀りできて良かった」などの感想をいただきました。
ゲストのお話部分の動画はこちらからご覧いただけます。(一部プライバシーに配慮し、別画像にて編集しています。ご了承ください)