7月1日(土)にNPO法人れんげ舎代表理事/合同会社ファロルモ代表の長田英史(おさだてるちか)さんを講師にお招きし、「場づくり」の考え方を通して活動の始め方、組織運営の基本を学びました。
長田さんは、大学在学中の1990年より「子どもの居場所づくり」に関する教育運動に参加し、就職の道を選ばずに、当時ではボランティアのような子ども支援の活動を自分の仕事にできないかと考え、1996年にれんげ舎を設立しました。
NPO法人格がまだ存在していなかった当時、活動を仕事にしたパイオニア的な存在です。
れんげ舎の活動内容としては、「子どもの居場所づくり」や「カフェの経営」そして、講座でお話しいただいた「場づくり支援」の活動を主に進めています。自分たちの力で豊かな「場」をつくり出せれば、大きな組織に属したり、企業や行政からの財政援助を受けなくても、活動が成り立つことを身をもって証明してきました。
地域にはさまざまな活動の場があり、そもそも新しい活動の場をつくる必要がないのでは?
しかし、自分が本当に求める活動の場が地域にないかもしれないし、もし似たような活動の場であったとしても、自分にぴったりと合う場ではないかもしれません。また、何か違和感を感じることもあるのではないでしょうか。
今回の講座では、「新しい場をつくることは新しい日常や新しい生き方をつくることにつながる」と、長年プレイヤーとして地域で活動してきた経験を交えながら、全く0から始める活動の方法や、既に行っている活動を振り返るきっかけになればという視点で、たっぷりと場づくりについてお話しいただきました。
「わたし」からはじまる!場づくりの始め方 当日の主なトピックス
・場づくりとは? (参加者から主催者にシフト、地域活動の古い常識から自由になる「カフェとスナック」) |
・【ワーク】あなたの求める場は? (「こんな場が好き!・こんな場は苦手!・こんな場がほしい」) |
・場づくりの3ステップ (1紙の上の場、2単発の場、3継続の場) |
・活動の場の成り立ち (場の二階建て構造) |
・個人と組織 (活動を支える組織の意思決定) |
・意思決定システム (トップダウン型とフラット型) |
・感じたことと考えたこと (自分の内側を見るときに役立つ「視点」) |
場づくりとは?
様々な場面で「場づくり」という言葉が使われていますが、その定義は曖昧です。
場づくりは、自分の「想い」と「場」をつなげることが基本的な考え方となり、自分はこれがしたいという想いに忠実に場をつくって活動していくことが大切です。
「場」とは何なのかを「場所」との違いからとらえました。
「場所」と「場」の違い 場所=建物や施設など地図で示せる任意の地点 場 =主に人のつながり方が生み出す雰囲気や可能性 |
場づくりに必要なこととして、人との良いつながり方があげられました。メンバー同士での優れたつながりをつくることです。
そこに活動の場があってもメンバー同士のつながり方が満足なものでないと、いい雰囲気はつくれません。
また、「わたしが場をつくり」、「わたしが場につくられる」といった考え方に基づいて、事前の準備をしっかりとすることも大切です。
メンバー同士が対話を繰り返し、しっかり事前の準備ができていることで、普段の日常生活における場とは、また違う場が立ち上がり活動しやすくなるなどの効果が期待できます。
場づくりの3ステップ
「わたし」たった一人(=0の状態)からはじまる、活動の始め方の3ステップです。
きっかけの場をつくろうにも、何からやればいいのかわからなくて戸惑ってしまうかもしれません。そんなとき、参考になるステップです。
ステップ1 紙の上の場 ・紙の上をひとり事務局と考えて「わたしはこういうことがしたい」想いをノートに書き出してみる ・ニュースレターを発行して共感を集める ステップ2 単発の場 ・トライアルで試しにやってみることで、実際に活動の場に立てたり、周りの反応を伺うことができる上、未来の仲間が見つかることも ・場づくりの力が付く ステップ3 継続的な場 ・継続させるため、まずは場の定例化をめざす ・場の常設化は、必要性を検討する ・そして、場を日常化させる |
活動の場の成り立ち
活動の「場」は、二階建て構造をしており、活動の規模や内容は違っても、どんな場にも共通しています。
例として、一階が二階を支えています。豊かな一階をつくることは、豊かな二階をつくるための必要条件です。
活動を支える一階は、「運営」の場で、主に「準備と振り返り」をします。
そして二階が、「当日」の場です。
ひとつの場は、「準備~当日~振り返り」のワンセットでつくることになり、一階部分の「運営」の場を整えていくことが、より良い組織運営につながります。
活動の内容を工夫することだけに着目するのではなく、一階部分をしっかり整えることが必要不可欠です。
以上、ご紹介した内容は講座の一部ですが、詳細については長田英史さんの著書『場づくりの教科書』(芸術新聞社)がさくさぽの本棚にあるので、ぜひお手に取ってご覧になってみてください♪
最後に、さくさぽのキャッチコピーは「佐久の市民活動をもっと楽しく!!」です。
自分の想いとつながった場をつくっていくことは、より楽しく活動するヒントにつながるのではないでしょうか。
地域の「場づくり」は完全にフリースタイルで、こうしなければいけないということはありません。
さくさぽでは、みなさんの活動がもっと楽しくなるように、あなたの“やってみたい”を応援します。
“自分らしく活動できる場をつくってみたい”とお考えの方、どうぞさくさぽにご相談ください!