令和元年台風19号の経験を今後のまちづくりに生かすため、長野県NPOセンターでは、米国ジャパン・ソサエティーの助成を受け、佐久市市民活動サポートセンターの協力のもと「佐久市災害に強いまちづくりプロジェクト」を実施しました。
以下に概要をご報告します。
事業実施にあたっては、各区、消防団など、多くの関係者のご協力をいただきました。この場を借りて心より御礼を申し上げます。
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【事業内容】
協働による防災マップの作成とワークショップ事業
事業期間:2021年1月~12月
対象地区および参加者:
合計:佐久市内13地区/延べ人数415名
ワークショップは以下の6地域に分けて開催した(すべて令和元年台風19号の被災があった地区)。
①志賀中宿区、下宿区/77名
②前山北中区、前山南区、小宮山区、洞源区/48名
③大沢上町区、中町区、下町区/84名
④石神区、杉の木区/81名
⑤清川区/78名
⑥入澤区/47名
ワークショップの構成:全3段階(※)、計16回
※新型コロナウイルス感染症の影響で3段階の開催が困難だった2地域(②前山北中区、前山南区、小宮山区、洞源区、⑥入澤区)においては、2回目、3回目のワークショップ内容を合せて実施し、全2段階の開催とした。
各地区の地域住民、区役員、消防団員等に集まってもらい、参加型で地図を完成させた。その過程で地区のハザード情報、避難場所確認や避難行動の図上訓練などを行った。
1回目:台風19号被災情報のヒアリング
区長や消防団員から被災状況(氾濫浸水範囲、床上・床下浸水、破堤・洗堀箇所、橋梁流出、通行止め等)を聞き取り、住宅地図に記入した。同時に当時の災害写真や動画などを提供してもらい、撮影した写真と地図の位置を照合できるようにした。
(1回目ワークショップ後、事務局にて2回目以降のワークショップに向けた資料作成を行った。1回目ワークショップで出た情報を整理し、区全体を包含する縮尺1/1800のA0サイズの地図上に情報を集約・転記し、防災マップの原図を6地域分作成した。必要に応じ、再度現地に出向き聞き取り調査などを行った。)
2回目:講座・フィールドワーク
「台風19号被害から見る地区の課題とタイムライン」(防災士・災害支援コーディネーター/大出邦雄)及び「地域の地形地質の成り立ち」(講師:岩村田高等学校教諭/寺尾真純氏)をテーマに講座を行った。現場を実際に回り、地区消防団員から被災状況の説明を聞くフィールドワークを行った。参加者に防災マップ(仮)を共有し、漏れている情報があれば書き込んでもらった。
3回目:防災マップの共有とマイタイムラインの作成
防災マップをもとに、指定緊急避難場所、指定避難場所、安全な避難経路等の確認を行った。また、「マイタイムライン作成」のワークを実施した。
なお、完成した各地域防災マップは後日公民館・集会場・各地域消防団詰所に掲示してもらい、災害の記憶を留めてもらうと同時に今後の防災に役立ててもらうようにした。
協力機関
後援:佐久市
協力:佐久市危機管理課・広報広聴課・佐久市消防団・佐久市市民活動サポートセンター
成果および所感:
一般的な防災マップよりも詳細な各地域独自の「地域防災マップ」を完成することができた。区の住民や役員だけではなく、特に災害時に最前線に立つ消防団より、次の災害に向けた団員の教育や災害対応のためにマップを使いたいと要望があり、提供した。ある区長からは、このマップづくりを機に区での避難訓練を実施していきたいという発言があり、有益な地域防災マップが作成できたと判断する。
参加した地域住民の中には、改めて災害の悲惨さを認識し、今自分の居住している場所でどのような災害発生の恐れがあるのか、「千曲川ハザードマップ」、「佐久市防災マップ」および今回作成した「地域防災マップ」から判読し認識を新たにした人が多くおり、ワークショップ終了後も感謝の言葉が届いた。
区の役員は年度ごとで交代するため、ワークショップ開催時には新しい区長に交代していた区もあったが、新しい役員・民生委員等と被災状況を共有する貴重な機会となった。また、講座の実施を通じて、各区、行政の危機管理課との信頼関係の構築に繋がった。更に防災について学んでいる近隣大学生に参加してもらい、防災教育にも貢献できた。
※各地域防災マップについては、ご協力いただいた区長さんのご承諾を得て公開していますが、お気づきの点がありましたらお問合せください。
佐久市災害に強いまちづくりプロジェクトについてのお問合せ先:
特定非営利活動法人 長野県NPOセンター
(事務局:佐久市市民活動サポートセンター)
【関連リンク】
▼佐久市「地域防災マップ」について
https://www.city.saku.nagano.jp/kurashi/iza/bosai_bohan/chikibousaimap.html