佐久市市民活動サポートセンター(さくさぽ)は12月13日,同市市民創錬センターで,市民活動を継続し,担い手を探す方法などを模索する団体・人を対象にした講座と個別相談をおこないました。講座には,市民ら計13人が参加し,市民活動団体の二代目代表となったゲストの具体的な話と,さくさぽのセンター長の市民活動の継続方法などの説明に耳を傾けていました。講座後,2団体の個別相談がありました。
ゲストの清水寛美さんは,2020年,養蚕業で栄えた小諸市の歴史と文化を広め,賑わいづくりにつなげようと2015年から活動を続けている特定非営利活動法人(NPO法人)「糸のまち・こもろプロジェクト」の代表に就きました。清水さんは,代表就任の経緯や組織運営について,さくさぽの粟津知佳子・センター長との対談で次のように語りました。
―清水さんが「糸のまち・こもろプロジェクト」に最初に関わるようになったきっかけを教えてください。
仕立て業を営んでいましたが,「絹のことわかるでしょう」と声をかけられ,小諸の蚕糸産業の研究会に関わるようになりました。そして,糸のまち・こもろプロジェクトにも参画しました。
―代表(理事長)を引き継いだ経緯について教えてください。
NPO法人の前理事長は入退院を繰り返し,亡くなりました。以前の法人の定款(NPOなどの組織や業務に関する基本的な規則)では,「副理事長は、理事長に事故あるとき又は理事長が欠けた時は、その職務を代行する」とあった。周囲と相談し、私が理事長になることになりました。しばらくして長野県から(NPO法人が毎年提出することになっている)事業報告書が提出されていないことをしらされました。県の窓口と相談して,まずは理事長の選び方について、定款の文言を見直すことになりました。NPOに詳しい人や小諸の歴史を熟知している人などに相談し,最終的に私が理事長になることになりました。小諸の歴史はすばらしく,そこに生まれ育ってきました。だから小諸が大好きで,引き継ぎ,活動を続けてこられました。
―時代にあった活動にしていくために、気をつけていることはありますか?
コロナ禍で小諸の街ゆく人が少なくなりました。(法人の活動も制限されましたが)電話をしてきてくれた方にはできるだけお会いし,丁寧に小諸の蚕糸の歴史などを話しました。その際には,なるべく専門用語を使わず,写真を多用し,楽しく聞いてもらえるように努力しました。
新しく法人に入ってくれた人の多くは仕事を持っていました。そういった人たちには私自身が嫌だと思うようなことは頼んだりしないようにしました。ただ,困ったことといえば,パソコンをどう使ったらいいのかわからないことでした。仕立て業でしたからパソコンは必要ないと思っていましたけど,周りの人たちに助けられながらパソコンを使えるよう努力しています。
―今、市民活動をしている方へ、運営についてアドバイスがあればお願いします。
(組織の新陳代謝を進めるには)法人の定款を時代に則して変更していかないといけないと思います。NPOの課題については,自分たちだけでやろうと無理をせずに,わからないことは,NPOの制度に詳しい人に相談したらいいでしょう。
どんな市民活動団体も,そこにいる人たちが楽しく活動しているところには,人が集まるのではないでしょうか。私は今,パソコンを使った情報発信を楽しんでいます。大学生が積極的に協力してくれています。大学生の協力で企画展を開き,YouTubeもできました。大学生が私の先生です。
質疑応答では,恒常的に資料などを展示する場所の有無について,清水さんは「現在,電話で申し込んでもらい,自宅に来ていただいた方には関連資料などを見てもらっています」と話しました。関係した大学生とのつながりについては「大学生のなかに小諸に住みたいという人も出てきました」とこたえました。
対談後,粟津センター長が「どうする? 市民活動の次の担い手~活動が長く続いていくために~」(参考:下記添付資料)という説明をしました。市民活動のベースや成長(個人→グループ→組織),多様な参加方法,市民活動・NPOのリーダー交代の例,代表の役割の整理,組織の意思決定のやり方の見直し,団体の運営方法,団体の事業継承・解散などです。
最後に清水さんは「団体の運営は時代に合わせて変えていきます。また多くの方との交流を深めたいとも思っています」と話しました。
※さくさぽでは、活動の担い手募集や情報発信など、市民活動団体の運営についてのご相談を伺います。お気軽にお問い合わせください。
※当日の動画はこちらからご覧いただけます。